前回の“楽しく子育て”では、トイレットトレーニングの前段階として、「一人遊びを見守り、膀胱におしっこをためる練習をしましょう」といったことを書きました。
オムツがはずれるという事を、子ども自身の発達から考えてみると、

  • 子ども自身、おしっこがたまったという感覚が分かる(大脳皮質が発達している)
  • この場所(居間など)ではおしっこをしてはいけないという事が分かる
  • 今ここでおしっこしないように我慢できる
  • トイレに行っておしっこができる(トイレを怖がったりしない)

ということになると思います。
子どもの発達については個人差があるので、その子の月齢で、オムツはずしを決めるのは適切ではありません。大人側から子どもを見た具体的な目安としては、

  • 自分の足で歩けている
  • 大人の言うことは大抵理解できている
  • お昼寝で2時間以上眠ったあと、オムツがぬれていない

ということが2歳過ぎにそろったら、オムツはずしの時期が来たと考えられます。そしてオムツをはずす重要な条件は、寒い季節を避け、子どもが嫌がっていないことです。中にはとてもデリケートなお子さんが、トイレの水洗の音にびっくりして、トイレをすっかり嫌ってしまったという話を聞いたことがありますが、そうしたお子さんは、おまるを上手に使って、ゆっくりトイレに慣れていくようにすると良いのではないでしょうか。また、きれい好きなお母さんが、子どもがトイレのあちこちを触ることを禁じて叱ってばかりいると、子どもはトイレがすっかり嫌いになってしまいますので、叱り過ぎないようにしてあげてください。

このようなことに気をつけながら、いよいよトイレットトレーニングが開始されますが、保育園では、必ず保護者の方と面談を行い、大人同士の対応を一致させるため、トイレットトレーニングの保護者向けマニュアルをお渡しします。ご家庭でオムツはずしを始められるようでしたら、是非他の家族の皆さんと読んでいただいて、同じ対応をするために、このマニュアルを参考にして下さい。

さて、いよいよオムツをはずしパンツで過ごすことになったら、お子さんが外遊びをする午前中の時間帯でしばらく練習してみましょう。遊びの最中におもらしをしたら叱らずに、「あらおしっこ出ちゃったね、今度はおしっこって教えてね」とやさしく話しかけて、丁寧にふいてあげて下さい。実は子どもは、今までおしっこをしても何も不快な気持ちを経験していないのですから、びっくりするやら戸惑うやらとても困った気持ちになると思います。そこで大好きなお母さんか叱られると、どうしてよいか分らなくなるのです。そして「おしっこをすることがいけないこと」と思ってしまいその後も言葉で「おしっこ」と中々言ってくれなくなります。

以前3歳を過ぎた女の子の親御さんが、どうしても「おしっこを教えてくれない、トイレに行きたがらない」と、相談に来られた方がありました。他の事は何でも分かっていてかなりおしゃべりもできているのに、おしっこに関してだけはかたくなにトイレに行きたがらない、というのです。よくよくお母さんのお話を伺うと、どうもトイレットトレーニングの始めの頃、お漏らしをきつく叱っていたそうです。「しっかり叱っておかないと分からないと思って」とおっしゃるお母さんは、他の事ではあまり叱るタイプの方ではなさそうで、むしろ静かなタイプの方でした。女の子もとても賢そうで、だからこそお母さんが漏らした事を叱ると、おしっこそのものがいけないと思ってしまったのでしょう。

「決して叱らないで」ということと、トイレが楽しくなるように「何か絵でも貼ってあげて」とお願いしたところ、1ヶ月もたたずに連絡がありました。「私が勘違いをしていました。叱らずに褒めるようにしたら、あっという間にトイレでできるようになりました」と報告を受け、本当にほっとしました。

トイレットトレーニングで親子関係がこじれてしまうと、将来自分が何かを発表し、意志表示をすることが苦手な大人になってしまうと言われています。

子どもにとっては自分の身体の一部分である排泄物を、大人から丁重に扱ってもらうことによって、自分自身を大切に思える「自尊感情」が育つことを私たちは十分心得ていたいものです。