2歳半から3才頃の間で、ほとんどの子どもはオムツを卒業します。お気に入りのキャラクターに熱中する時期が幸いして、パンツに移行したばかりの子どもはパンツの柄を自慢そうに見せてくれます。そして、自分と同じ柄のパンツをはいているお友達を見つけると「おなじ!!おなじ!!」と喜び合います。ついこの間までは、お友達が傍にいても、お友達ではなくその子が持っている遊具に気をとられるという事が続いていましたが、この時期に入ると、自分と同じような「おともだち」の存在に気がつき、惹かれはじめます。自我のめばえと共に、自分とは違う他人の存在に興味を持ちはじめた証拠ですが、まだ他人との関係を上手につくりきれないこの時期は、大人の関わり方が大きな意味を持ちます。

この時期までの子どもは、遊具など物を自分の力で動かすことで「自分には力があるのだ!何でもできるのだ!」といった物を支配することで自己有能感を感じていました。この感覚を身につけた子どもたちは、自分の力では動かすことの出来ないけれど、自分と同じ様に動いている「おともだち」の存在に気がつき、興味を持ちます。おともだちへの興味は、まずは、おともだちが持っている「もの」への興味として現れます。保育園の1歳児クラスでは、遊具が不足しないよう常に気をかけていても、同じ遊具がいくらあってもおともだちの持っているものが欲しくてたまりません。子どもが遊具をどうしても独り占めしてしまう時は、叱りつけるのではなく「おともだちの顔を見てごらん、貸して欲しい〜って言ってるでしょう?」とことばを添えながら、必ずお友達の表情を見せるようにして、子ども自身がおともだちの感情を読み取れるよう対応しています。

公園の砂場等でも、この時期の子どもは、別のおともだちが何をしているのか、気になって仕方がありません。そんなときでも、まわりの大人が黙りあっていると、大人に挟まれた子供同士がどうしてよいか分からず、活発な子どものほうが突然相手のお友だちをドーンと突き倒してしまう場面を見たことがあります。明らかに元気の良いお子さんはお友だちのことが気になり「おともだちになりたいよ〜」とでも思ったのでしょうか。言葉も見つからず、お母さんには叱られて、とても可愛そうでした。

それでも外遊びが大好きな子供たちは、トラブルにもめげずに公園通いをしているうちに、段々とおともだちの存在に気づいて会えるのを楽しみにするようにもなります。けれど公園の遊具などを譲りあって遊べるようになるにはまだまだです。この年齢では、子ども同士だけで仲良くなるのは大変難しいことです。子ども自身がどの様におともだちに近づいてよいか分らないのですから、お父さん・お母さんが是非おともだちの親御さんに話しかけて下さい。名前を教えてもらい、子ども同士を紹介しあって大人同士が会話を始めれば子どもたちはたちまち一緒に遊べるようになります。3歳前の子ども同士が共に過ごすと、すぐに喧嘩にはなってしまうかもしれませんが、一人っ子のお子さんには、大変貴重な経験になると思います。

そして少し大きなお兄ちゃん・おねえちゃんに遊んで貰う機会があったら、それはさらに嬉しい時間になります。保育園では3歳前の2歳台の子どもが過ごす1歳児クラスには、秋頃から毎日、5歳児のお兄さん・お姉さんが遊びに来てくれる習慣になっています。5歳児の子ども達はどの子も皆小さなお友達の相手をしてくれるわけではありませんが、様々な良い影響関係が見られます。小さい子の方では、お兄さん・お姉さんが自分達の遊具で遊び始めても、「触っちゃだめ!!」とは決して言わないところが何とも可愛いく、お兄さん・お姉さんには一目置いている様子が分かります。遊び方をじっと見ては、後で真似をして同じように遊んでいるとか、たくさんのことを学んでいるようです。そして少しづつ、同年齢のお友達との接し方をも学んでいるのでしょう。

各ご家庭でも、ご近所には遊びに来てくれそうなお兄さん・おねえさんはいませんか?喜んで遊んでもらえるかもしれませんし、お母さんとお友達が話す言葉にも興味を持つかもしれません。お母さんは「自分の子どもの世話で精一杯!!」とお思いかも知れませんが、遊んでもらえるとお子さんもいつもとは違った姿を見せて、ほっとした気持ちになれるかもしれません。お母さん自身も、子どもにも色々なタイプの子どもがいるということを知るのも今後のためには大いに必要なことではないでしょうか?

自我が育ってきた子どもが、目を輝かせて他の子どもに近づいて行く様子を見るたびに、人間が「社会的動物」であることを実感させられます。「おともだち」との時間は、親や大人では与える事のできない、「人間力」の基礎を育む貴重な時間なのです。個人がますます孤立して、他人に干渉しないことをよしとする現代社会では、大人同士が見知らぬ人とのコミュニケーションを疎んじる現状があります。それでも、お子さんの行動範囲を広げてあげたり、かけがえのない体験をさせてあげられるかどうかは、大人のコミュニケーションの技量にかかっています。大人たちが、子どもたちに色々な個性を持つお友達をたくさん作ってあげるよう奮起すれば、日頃の自分の消極性を見直す機会にもなり、子育てを通じた大人としての成長の機会ともなります。子どもの社会性の芽生えを大人の「育ち直し」の機会ととらえて、子どもを中心とした楽しい人の輪を広げていってほしいと思います。