赤ちゃんは産まれて半年も過ぎると、生まれたてのひ弱だったことが懐かしく思い出されるほど、随分と体がしっかりしてきます。もちろん赤ちゃんの個性の違いも大きく見られ始めるのですが、5~6ヶ月の赤ちゃんの大きな特徴は、首も座り抱っこで外出する機会が増えることではないでしょうか。外出時に、お母さん一人で町を歩いていたら他人から声をかけられると言うことは殆ど無いのが普通ですが、赤ちゃんといるとそのあまりの可愛らしさに、「まあ~かわいい、何ヶ月?」と声をかけられることが多くなるでしょう。人見知りももう少し先のこの時期は、声をかけられると声をかけてくれた人の方を見て「にこっ」と笑うので、さらに見知らぬ人とのやり取りが深まります。お母さんとしては本当に嬉しい一瞬ではないでしょうか。

赤ちゃん自身も様々な場面で大人達のことをよく見ていて、特に食事をするお父さん・お母さんを見て、よだれが流れるのもこの時期です。アレルギーの心配から離乳食はゆっくり始めるようにという保健所などの指導にもあるように、離乳食の開始の時期は、あまり焦って早める必要はありません。とはいえ、どう見てもお父さん・お母さんの食べる姿をうらやましそうに眺め、よだれをたらしている赤ちゃんには、そろそろ離乳食を始めてあげたいですよね。(私たちの保育園では、5〜6ヶ月の初期から離乳食を進めています。離乳食の進め方についてはクリックして見て頂ければと思います。)

この初期の離乳食は「何をどの位食べさせたら良いか?」ということにあまり熱心になる必要はありません。赤ちゃんは2ヶ月ごろから口に当たるものを次から次となめ、この時期までにはかなりの玩具を舐めまくっていて、様々な口当たりの感触を学習しています(雑菌に負けない抵抗力は持っていますので、寛大に舐めさせて下さい)。 いろいろ舐めた物と比べて、実際に飲み込んで良いのですから美味しいに違いないですし、お母さんからの「おいしいね~」との声かけが、いっそう赤ちゃんのうれしい気分を盛り上げます。しかしこれまで、母乳・ミルクを飲み込んでいただけだった赤ちゃんには、舌の上におかれたおかゆやスープなどを、今まで使ったことのない唇・舌・喉の動きでもって、口を閉じて飲み込む練習が必要です。そして実はこれらの動きは、後々発話をするためにとても大切であり、離乳食をゆっくり進めることにより歯切れの良い言葉を引き出すために必要な練習をしていることになります。離乳食初期は離乳食作りに力を入れ過ぎず、むしろ食べさせる時に「あ~ん」と口を開いて見せてあげたり、「おいしいね、上手に食べたね」とたくさん声をかけ褒めて、食べることを励ましてあげることが、何より大切なのです。

こうして日々の積み重ねで離乳食が進むうちに、赤ちゃんには嬉しいことを記憶するという、すばらしい能力も育ち始めます。授乳・おむつ交換・抱っこの時の頬ずり・歌うように話しかけてくれる、などの動作でもって、繰り返し世話してくれる人(たいていは母親・保育園は女性保育士)を慕って、何かと固定した人に抱かれることを喜ぶようになっていきます。この先に始まる<夜泣き・人見知り>は、赤ちゃん自身が体験したことを記憶できるようになって昼間の刺激を思い出すからだと説明する研究者いますが、理由はどうであれ、赤ちゃん自身の成長の一端であることには間違いありません。おおよそ6ヶ月を過ぎた頃から遅い子供は2歳過ぎまでの間で現れる<夜泣き>、長く続く子どもで2歳過ぎまで続く<人見知り>は、一人ひとりの子供によって随分と違って現れているようです。これはお父さん・お母さんからもらった遺伝子のなせる業であって、決して育て方の問題ではないことを知っておくと、実際に夜泣きや人見知りが我が子に現れたときに苛々しないで済みそうです。

特定の人でなくては泣き止まない<夜泣き>や、安心できない人の顔を見るなり火がついたように泣く<人見知り>の時、赤ちゃんがお母さん一人にしか抱かれようとしない場合、お母さんの負担は大変なものになります。保育園の0才児クラスの中では、赤ちゃん自身が「信頼度ランキング」を決めていて、一日のお世話の度合いで、いざと言う時の(寝かしつけ・具合が悪い時など)安心できる保育士さんを決めている姿を見てきました。保育士さんもお休みの日もありますので、その場合は赤ちゃん達は、その次に信頼できる保育士さんに抱かれています。つまり、常にたった一人の人でなくてはならない訳ではないということは実証済みです。

これから始まる<夜泣き・人見知り>に備え、家族の為に一生懸命働いて疲れているでしょうが、お父さんにも是非協力していただき、赤ちゃんに人見知りされないよう(実際お父さんが人見知りされることが度々あります)、できる限りお父さんとの楽しい時間を持っておいてくださいね。<夜泣き・人見知り>をお母さん一人で抱え込むのは辛すぎます。また、各保育園では地域の子育て家庭向けに“子育て相談”を実施しています。プロの保育士さんに一寸でも話を聞いて貰えると、ふっと力が抜けるかも知れません。

赤ちゃんにとっても通過しなければならない困難を乗り切るコツは、お母さん自身が孤立しないことではないかと思っています。