8ヶ月近くに成長してきた赤ちゃんは、「はいはい」がだいぶ上手になってきます。とは言っても全ての赤ちゃんがはいはいのみをするばかりなのではなく、はいはいをあまりしたがらずおすわり姿勢でじっくりと遊ぶ赤ちゃんもいれば、身の軽い赤ちゃんならあっという間につかまり立ちして、つたい歩きを始めてしまう等、赤ちゃんのもって生まれた個性が大いに発揮され始めます。こうした個性はあっても、どのパターンの赤ちゃんも、頭の中は「何か変わったものはないかな‥?」と、しきりに珍しいものを探し、それを手にするとしばらくはなめて確かめ、随分とじっくりと遊んでくれるようになってきます。玩具より大人達が使っている日常用品が触りたくて仕方がないようになって来るのも、大人たちの行動を良く観察している証拠です。

私の長女は、ちょうどこの時期にはお座りが出来るようにもなっていたので、キャラメルの紙の箱を持たせてみると、座って中身を出したり入れたり舐めたりと熱心に遊んでいてくれました。これ幸いと台所仕事で目を離し、戻ってみたら箱を放り投げていてほかの遊びに移っていたので、娘に何の異常も感じずそのときはほっと胸を撫で下ろして終わりました。しかし4~5日過ぎたある日、娘が大きなくしゃみをした瞬間に、鼻から確かに熱中して遊んでいたはずの箱の小さなキャラメルの箱の一片が飛び出してきたではありませんか!どうして鼻に入っていたのかは、娘が熱心に詰め込んだとしか考えられず、その器用さに驚くやら、今後は目を離さないことを肝に銘ずるやら。このときは大事に至らずにすみましたが、とても反省したことを覚えています。本当にこの時期は、日々赤ちゃんの能力がびっくりするような進歩を見せる時期なのです。

また、これまで這う動作で手一杯だった赤ちゃんは、はいはいの途中で横すわりから安定した座位を保てるようになります。手が自由に使えるようになってきたことと、様々なものへの関心から、何でも見たものをつまみ、口に運んでしまいます。私の娘のように鼻や耳などに物を詰め込む赤ちゃんも多く、とんでもないものを飲み込んだりしないよう、家庭内の小さなものを、赤ちゃん目線で調べ片付けておくことが肝心です。「赤ちゃんは昨日までできなかったことが、今日突然出来るようになり、お年寄りは昨日まで出来たことが、今日突然出来なくなる」と言った言葉を聞いたことがおありかと思いますが、8ヶ月を過ぎた頃からは、赤ちゃんの家庭内の事故や死亡が最も多くなる月例に入ってきますので、どうにも家事をしなければならない時は、おんぶなどで赤ちゃんから目を離さないで欲しいと思います。

この様に、はいはいでだいぶ移動できるようになり、頭の中では様々な好奇心と、赤ちゃんなりの知識がためられてくると、いわゆる「人見知り」が始まります。赤ちゃんの性格にもよりますが大なり小なりどの赤ちゃんにも見られるこの人見知りは、大人になっても「初対面の人には人見知りしてしまう」と言う方もいる位、大変個人差があります。赤ちゃん自身が色々な体験を通し“知っていること”と“知らないこと”がある程度分別できるようになったことの証である「人見知り」は、むしろ赤ちゃんの成長の証として喜ぶべきことなのです。そしてこの時期を乗り越えると赤ちゃん自身にも、世の中の人が殆ど自分を受容れてくれているのだという“自己肯定感”が育ち始めます。

そして「人見知り」の後には、お父さん・お母さんを“後追い”をして激しく泣くという、また大変厄介な時期が続きます。特に託児施設などに赤ちゃんを預けている忙しいご家庭のなかには、この時期が一番辛かったと話されている方もおられる位です。この様な時期は、出来るだけ預ける方と親しく会話し、笑い会う時間を多く持ち「お母さんはこの人とても親しいの」と言った雰囲気を赤ちゃんにしっかり見せてあげて下さい。保育園の人見知りの時期に入った0歳児に、私も泣かれることが時々あります。その度に担当の保育士は、私の名前を声に出してくれますし、笑顔で「こわくないのよ」と声をかけてくれます。そのように赤ちゃんが信頼している人から紹介してもらい、つないでもらうことで赤ちゃんの「人見知り」はだいぶ緩和されるものです。

他の動物には見られないというはいはいの時期は意外と長く、赤ちゃん自身は興味のある物を見つけると、その品物調べに余念がありません。玩具以外の日常品、特にティッシュペーパーの様につまんで引き出す繰り返しが楽しくて仕方ないらしく、この時期の赤ちゃんにティッシュぺーパーの紙をなん箱も引き出されたというお話を良く聞きます。自分が手をかけると動きが生じるといった遊びで、玉を上から転がすような玩具が赤ちゃんに大人気なのも、自分の行為で物を動かせるということを知った赤ちゃんの優越感を満足させるからではないかと思えます。