3歳半を過ぎると子ども自身の世界はとても広がってきます。保育園・幼稚園の2歳児クラスに通う子、子育てサークルや一時保育に通う子など、お友達と遊ぶ機会はますます多くなっている事でしょう。他人への興味や身体能力が大きく発達してくるこの時期ですが、想像力という点では、「おとぎの世界」と現実の世界の境界線が作れないという特徴があります。どうしても次の行動に誘いたい時、お気にいりのキャラクターにならせてみると成功することがありますが、なかなか毎回というわけにはいきません。結果を予測したり自己制御したりする能力や身体をコントロールする「心」が未発達なので、心と体のアンバランスや葛藤が多く起こる時期でもあります。この年齢の子どもの問題を、「体」の問題から考えてみたいと思います。

 走ったり登ったりする力がぐんぐんついてくるこの時期、元気の良い子どもは休日家でじっとしていられないので、家族でのお出かけがとても多くなっているのではないでしょうか? 他方で、この時期に弟妹が生まれたご家庭では、休日とは言っても家族でのお出かけはとても無理なことだと思います。力がついて元気一杯の子どもが家の中で過ごさなければならないとしたら、どうなるでしょう? おそらく、エネルギーを室内でいたずらとして発散するか、エネルギーを自分に向けるか、どちらかです。

 私の長女には、1歳5ヶ月違いで妹が生まれました。よくよく考えると長女は3歳過ぎに保育園に入れるまで、外遊びに連れ出す機会がほとんどありませんでした。下の妹と遊ぶ時間が多く、近所のお友達と遊ぶ機会など全くといってありませんでした。元気で活発な長女は、当然家の中でお転婆ぶりを発揮していました。保育園に入所すると、クラス内でも元気一杯のいたずら娘で、ずいぶんと担当の先生をてこずらせていました。いたずらして、お友達と一緒に倉庫にいれられることがたびたびあることを知り、他のお母さん達と一緒に「倉庫に入れることだけはやめて欲しい」と抗議しました。娘の元気を否定的に見られることだけは納得できなかったのですが、娘のいたずらにも、上記のような大人の事情による正当な理由があったからだと思います。「好奇心をもって動き回ると叱られていたので、友達との関わりはとても下手だったと思う」長じて娘は話しています。

 私の娘のように何としても自分のエネルギーを発散しようとするタイプと正反対に、家の事情でどうしても外遊びに出られないお子さんが、家の中で静かに過ごしているケースも少なくありません。そうしたお子さんはあまり刺激を受けずに生活することにより、お友だちとの関係に関心を持たなく育ちます。そして子どものエネルギーが発散できないことで内に向かい、爪かみ・性器に触れ続けるなど、ちょっと心配な症状が現れます。そのような症状を叱られることは子どもにとって最もつらいことで、叱られてやめられるものではありません。それより何とか1日のうちの何時間を戸外に連れ出し外遊びをすることが特効薬になります。しばらくお友だちと外遊びをしているうちにいつの間にか子どもの気になる行為は消えていきます。私達のように、都会で保育を行っているものとしては、子どもたちの運動量を増やすことがとても大きな課題と考えています。

 3歳過ぎから4歳児に向かう子どもの心身のアンバランスは、休み明けに「おなかがいたい」「あしがいたい」「ほいくえんにいきたくない」といってお父さん・お母さんを困らせるかたちで現れたりします。「昨日まであんなに元気だったのに」と半信半疑で20分位体を横にしておなかをさすっているとケロッとしてすぐにはしゃぎ始めます。「仮病だったのかしら?」と思ってしまいがちですが、子どもには体や心の不調を訴えているのです。この年齢の子供は、力がついてきているとはいっても、自身の好奇心が勝り体力はまだ充分ではありません。お休みの日思いっきり楽しく遊んだあと、「からだがだるい、疲れた」と感じても表現ができず、全ての不調を「おなかがいたい」と表現するのです。保育園でもこの年齢の子どもが度々「おなかが痛い」といってナースルームで寝ていますが、その場合はさりげなく、でも優しく手当てしてあげることが肝心です。

 運動が足りなければ大人が困るほどの暴れん坊やお転婆ちゃんになるし、大人しいからといって一人遊びだけをさせておけば、将来お友達との交流が苦手になっていきます。自分を取り巻く世界が開け、好奇心に満ち溢れる時期ですが、心と体のコントロールがまだまだ難しいことを理解しつつ、楽しいことをたくさん体験させてあげて欲しいと思います。同時に、ほんの少しづつ子ども自身が我慢することを学ばせましょう。また、お友達とのけんか等に大人として丁寧に対応し、わが子がお友だちをたたいたりした時は、親として謝る姿を見せるという形で教えつつ、子ども同士の遊ぶ姿を見守りたいものです。