楽しく子育て29「3歳前パートII おともだち」では「お友達の存在に気づき、お友達のすることが気になって仕方がない」ということを書きました。3才前頃から子どもたちは保育園・幼稚園・そして兄弟や親戚のいとこ達といった子ども同士で過ごす時間がとても多くなってきました。この一年間に「お友だちと遊びたい、でもすぐにけんかをしてしまう」という繰り返しで、お母さん同士は本当に気疲れの多い1年間だったと思います。自己中心期のこの時期の子どもの気持ちを解説した本はかなり多方面から出版されています。それだけ育児の大きな山を越す程の大変な一年間であったと思います。他方、この一年間「遊びたい、でもすぐにけんかになっちゃう」という葛藤を大人同士から見守られた子供たちは、当然1年前の姿からは大きく成長していることが分かります。

 この間に各ご家庭では、お子さん連れのお出かけもずいぶんと増えたことでしょう。そうした体験の中でお子さんは世の中のたくさんの人に触れたはずです。新たな経験の中で注意され、叱られもしたことでしょう。子どもなりに新たな経験ばかりの中で、「どうして?」といった質問を多くしてきたはずです。それらに丁寧に答えつつ、日々のお友達とのじゃれ合いや張り合いを多くの大人から見守られていれば、子どもも事柄によっては大人の言うことを聞き分けることが出来る年齢になりつつあります。

 けれど、今までは家庭で過ごし、ほとんど大人が遊び相手だった子どもさんが、保育園の3歳児クラス、幼稚園の年少クラスに入園する場合は、猛スピードで子供同士のやりとりの機微を学ぶ機会であり、お友達との触れ合いから相当な葛藤が予測されます。このような場合は、本当に大変なことを体験するので、幼稚園や保育園の先生方と充分に相談しつつお子さんを見守ってください。

 この時期の子どもたちを見ていて、「毎日のようにけんかばかりしているのに、どうして○ちゃんとばかり遊ぶのかしら?」ととても不思議がるお母さんがおられます。子どもの場合は私たち大人がするけんかとは違って、いつも良く遊ぶ子供同士ほど本当に良くぶつかります。保育園で気をつけていることは、私たち大人がけんかをむやみに止めないこと、そして何故けんかになったかを双方から良く聞いてあげることです。

 こうして保育園や幼稚園などでの集団生活は、子どもたちにとっての貴重な体験の連続です。そんな子どもさんが家に帰れば当然甘え駄々をこねるので、お父さん・お母さんの集団生活へのご心配も多いことでしょう。けれど決してお子さんの今の体験を苦労と考え「かわいそう!」などとは思わないで下さい。この時期のさまざまな生きた体験は、子どもたちの大切な生きる力の源になっていくのです。この時期から4歳児クラス時代にたくさんの葛藤を経験したお子さんほど、年長さんになってからびっくりする位優しいお兄さん・お姉さんに育つことを、私たちはたくさんのケースから確信しています。

 では子どもは、こんなにも未熟同士でありながら、なぜお友達を求めるのでしょう?

 子どもは3歳を過ぎた頃から、物の大小・長短が分かるようになると、時間の流れもうすうすと分かるようになってきます。そして洋服の同色・同じ時間に登園したお友だち・同姓など同類を好む時期を経て、身のまわりにある違いが分かり始めると、子どもの興味の範疇で自分に属すものを価値づけます。残念ながらまだ社会性が十分に育っていないので、やたらと違いを見つけ出しては「女の子だからだめ~」等と、特定の子同士で遊びだすのもこの時期の特徴です。そして子どもたちは、自分たち子どもと大人の違いについて意識するようになり、「子どもは大人にはかなわない・・・」という、子どもにとってはとてつもない事実に気づくのです。私はこのことが、子ども同士の遊びをとても魅力的なものにする最大の理由だと思います。大人とのやり取りでは自分の限界を気づかされますが、子ども同士の遊びでは、のびのびと力を試し、自信をのばすことができるからです。まるで子ども同士同盟を結び、大人に対峙しているかの様に思えることがあります。

 とはいえ子供同士ですから自分の言いたいこと・したい放題ではたちまちに抵抗と攻撃に合い、すぐにけんかになって当然です。しかしけんかをしたあとは、ころころとじゃれ合い見事なスキンシップをお互いに楽しんでいます。子ども同士身体の五感を駆使して、お互いの気持ちを癒し合っているかのように見えます。複雑な感情を身体のさまざま感覚で感じ取り、それをまだまだ充分なことばで表せない時期だということも、私たち大人は知っておきたいことです。