4歳を過ぎた子どもは、子ども同士で過ごす時間がとても楽しくなってきます。幼稚園・保育園に通っていれば園での時間の殆どを友達同士で過ごす訳ですから、特別に仲の良いお友達が出来て「〇ちゃんのいえにいきた~ぃ!」とせがむようになります。あまりお友だちと遊んだことがないというお子さんは、是非お友だちを家に招いて遊ぶ機会を作ってあげてほしいと思います。子ども同士が遊ぶということはトラブルになることが多いとはいえ、その大変さをしのいで余りある、大切な意味があります。自分の得意・不得意が段々と分かりかけ、お友だちの遊びを模倣しながら張り合い、広がる人間関係のなかで様々なルールを身につける機会となるからです。

 私の上の孫は一人っ子なので、4歳を過ぎた頃から度々お友たちに遊びに来てもらっていました。ある日スプーンで食事をする孫が「まだスプーン使っているの?」と言われ、以来頑張ってお箸が持てるようになりました。他にも、自分の玩具を貸せなくて泣いたりしていましたが、いつの間にお友達が気に入った玩具を自分から出してあげられるようにもなりました。自立の過程でのお友達との切磋琢磨は、子どもを成長させる何よりの薬で、大人のうるさいアドバイスや注意にはできない力があります。

 ただし、この時期はまだまだたくさんのお友だちと仲良く遊ぶのは難しいので、かたわらに安心できる大人が居ると、仲の良い二人で比較的長く遊ぶことが出来ます。大人の見守りがあるからこそお友だちとの遊びが長続きする訳ですから、お友だちが来てくれているからといって、お招きした家庭のお父さん・お母さんは子どもたちをほったらかさないようにしましょう。反対にあらゆることに干渉し、がみがみと小言を言ったりしては、遊んでいる子ども同士の世界はたちまち崩れてしまいます。子ども同士の遊びの成り行きをさり気なく見守りつつ、子ども同士のトラブルが起きたら子どもから大人に言ってこられるような場所に居てあげることが一番です。

 楽しく子育て36で子ども同士がけんかをするという事は、互いにとても親しい関係であるということを書きました。3歳児時代にあまりトラブルを経験していなかったお子さんは、この年齢でお友達と遊ぶことが多くなった場合、様々な葛藤を経験することになります。お友達と遊ぶことによる葛藤はお子さんの心の発達の上でどうしても経験しなくてはならない通過儀礼と考えて、小学校に入学する前に是非特定のお友だちとたくさん遊ばせて、次々に起こるトラブルを大目に見てあげて欲しいと思います。

 お友達の家で遊ぶことによる学びは、子ども同士の関係ばかりでなく、子どもと大人の関係のなかにもあります。この時期の子どもは、お友だちの家に行ってお友だちのお父さん・お母さんの子どもに対する対応が自分の親と違っていることも、しっかりと観察しています。お友達の家に遊びにいくと、自分の生活の中で当たり前の習慣としてきたことを、友達の家では「あまりきびしくないな」とかその反対に「うちではあんなにはしかられない」など同じ事柄に関して各家庭でのやり方があることを知って行きます。

 子どもは、3歳を過ぎた頃から目に見える形で物事を比較することを知り、その後日々の生活の中で自分の心の中の規律を守ることを知ります。大人たちがその決まり事を忘れたりすると「おとうさんおうちにかえって、てをあらってない!」等と注意するほど決まりを守ることに熱心な子どももいます。決まり事についての、自分の家と他の家のやり方を観察しながら、日常生活の重要な事柄の順位の様なものを知っていきます。どの家に行っても決まって注意をされる事・皆が守っている事は守らなくてはならないと考え、子どもの心に知らず知らずのうちに社会性が育ちます。

 そこで子どもを招いたご家庭では、ちょっと煩わしいかもしれませんが、子ども同士のトラブル時は、自分の子どもを一方的に叱りつけ、遊びに来た子どもをないがしろにする様な、子どもから一目でわかる不公平な対応を決してとらないで頂きたいと思います。そしてこの時私達大人がつい失敗してしまうのが、「どちらかが良い・悪い」といったジャッジを入れてしまうことです。遊びの成り行きでのトラブルの原因は、子ども自身案外分かっているものです。トラブルは出来るだけ子ども同士で解決させるよう両方の意見を聞きつつ、危険のない範囲で見守ってください。

 お友だちが帰った後に手のひらを返すようにお友達を悪く評価するようなことも、決してしてはいけません。子どもはお友だちが居る時と帰ったあとの大人の態度のどちらを信じてよいか迷ってしまいます。大人の言動に裏表があることを多く目にすると、人前で悪ふざけをして、お父さん・お母さんの反応を確かめようとします。そんな場合は、子どもの心の中に「人がいるとおこられない、今日はどうだろう?」とお出かけやお客さんが見えているときに限って悪ふざけがエスカレートしていきます。この時期の子どもに、社会的規則の意識が育っている事を大人が意識して、手本になる意識で接してほしいと思います。

 保育園でも保護者の方にお友だちを家に招くことを勧めるのですが、「家の中が片付いていなくてとてもとても」といったお返事がよく返ってきます。この年齢の子ども達には、遊びに行ったお宅が散らかっているかいないかに全く頓着はないのです。それより、お友だちの玩具・遊び方、そしてお友だちのお父さん・お母さんの表情を感じ取って、自分の家にはない感覚を楽しんでいるのです。たくさんのお友達を招いているうちに、よそのお宅からも必ず招かれるようになります。お友達の姿からも、お母さん自身自分の子どもの見えていなかった部分がたくさん見えてくるでしょう。子どもを育てるのは私たち大人の力は欠かせないものの、お友達からとても多くのことを学んでいくことを忘れたくありませんね。子どもの成長とともに、親には、子どもに多くの経験をさせてあげる「マネージャー」のような役割も増えていく事を、喜んで受け入れたいものです。