就学前の時期、子どもの世界を広げる大人の支援はどんなことですか?

就学前の時期、子どもの世界が広がっていくのを感じますが、大人は何に気をつけたらいいでしょうか。
大人が率先して地域の人などに声をかけて見守ってもらえる人間関係づくりを目指しましょう。

体も大きく発達する5歳児は、園内の生活の見通しも立ち自信がついて、意識や活動が地域へと広がる時期です。大きくなると体力がついて地域の様々な場所へ散歩に行き、自分の力を試すような遊びも多くなります。

そんな5歳児を連れての散歩中や散歩先で、地域の方から「どけ!あぶないだろ」「(保育士が)女だけで子ども達を守れるのか」「木に登るんじゃない」と度々お叱りを受けたことがありました。テレビで保育園児が散歩中に事故に巻き込まれたという報道などもあり、地元の人は心配してくださっての言葉だったと思います。しかし、当時保育士になって数年の私は突然の大きな声が怖く、子ども達は「何か悪いことをしたかな…」と困惑していました。

数か月後には保育園を卒園し小学校と自宅を行き来する子ども達の安全を考えると、地域の方々の見守りは心強いものです。しかし怖い体験が残れば、地域の中で見知らぬ大人に助けを求めることもできません。できるだけ多くの方に温かく見守ってもらうためには良い関係を築くのが一番と思い、園外でお会いした大人の方には積極的に挨拶をするようにしました。

その後、連絡をとって地域の方々の集いや行事に参加するようにして、保育園の存在を知っていただけるようになりました。今では道を歩いている時や散歩先で「にじのいろ保育園かしら?」と優しく声をかけてもらうことも増えています。子どもの好奇心や行動範囲が広がり、自信をつけて積極的に行動したがるのは素晴らしいことですが、その分、新たな人の目に触れたり、新しい経路の危険が増えたりします。そこで叱られてめげるのでは無く、大人が率先して声をかけて人間関係をつくり、子どもの世界を広げてあげることが、とても大切なのではないでしょうか。

世界の広がりを楽しめる子どもは、積極的に冒険できる力をつけるに違いありません。
                          
S.Y保育士

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