噛む力を育てる

なぜ窒息がおきるのか?

噛む力子ども達の食べ物による窒息のニュースが報道されることがあります。
なぜ窒息がおきるのか?口は、空気と食品の通り道です。そのため、食べる行為は常に危険が伴います。
5歳以下の子どもは食べる力が未熟なうえ、気管が狭く、食品を喉に詰めやすいです。誤嚥や窒息を起こさないよう、保育園では口の機能を発達させる「食べる(噛む、飲み込む力)」をつけられるよう工夫をしています。

子ども達の口腔機能を遊び感覚で獲得していくように機会をつくる

子どもたちは、口の活動を通して、口腔機能を向上させていきます。例えば、離乳食後期食ではスティック状にした人参、棒状に切ったパンスティックをトーストにしたものを握って口にいれ、かじる、削り取る、噛む、咀しゃくするなどの力を遊び感覚で獲得していくようにしています。そのような機会をつくっていくことで、子ども達の口腔機能は反応し、発達していきます。
幼児食を食べ始めた頃は、大きなごぼう等を握ったまま、しゃぶる、なめる、噛む、を楽しみながら食べている姿も見られます。

また、”かじりつき食べ”は口の機能やことばの発達にも重要といわれています。
梨を大きく切ってがぶり、大好きなとんかつや魚のフライもがぶりと食べられます。かじりつきは慣れないと難しい動作でもあるため、まずは大人が「がぶっ」などの効果音もつけながら楽しく食べる方法を教えてあげるのもやり方の一つです。

お口の中で“しゃきしゃき”音がするよ

給食では噛むことを意識したメニューも取り入れています。先日、2歳児クラスの担当が、「小松菜とひじきのサラダ、お口の中で“しゃきしゃき”音がするよ。」と園児に伝えてくれました。お野菜が苦手な子も“しゃきしゃき”の響きに惹かれ食べてみたそうです。さらに、苦手だった梨にもチャレンジし、“しゃきしゃき”と食べたそうです。子ども達の成長をよく理解している保育士の声掛けがきっかけとなりました。

軟らかい食べ物しか食べてこなかった子どもは、噛まずに飲むことしか覚えていません。そのため、口の機能が発達するとき、その時期に咀しゃくの力が育つように食物の与え方を工夫する必要があります。子ども達の発達を理解し、これからも日々の食事のなかで、自然と子ども達が持っている能力を引き出せる工夫をしていきたいと思っています。
 

令和4年11月2日
A.S栄養士(南大泉)