１、自分の体を触ること
ご質問・モヤモヤ
- おむつ替えの時におちんちんを触ることがあります。
- 7ヶ月の息子がいます。時折オムツ替えやお風呂の際に、おちんちんを触ったり引っ張ったりします。その時の正しい対応方法を教えて頂きたいです。
- お風呂上がりにチンチンを触っていて「バイキン入っちゃうから触るのをやめてね」と伝えたが、お風呂上がりなので汚くはないか?と自分で疑問に思いました。触ってはいけないちゃんとした言い方を知りたいなと思いました。
- （性器を）触っちゃだめよ、と伝えていますが、なぜ触ってはいけないのかしっかりと伝えられていません。
回答
WHO欧州地域事務所とドイツ連邦健康啓発センターが発行している「ヨーロッパにおけるセクシャリティ教育スタンダード」では、５つの発達段階に分けて説明されています。０歳児は、気持ちがいい感覚を感じている時期であり、自分の周りの世界（身体）を発見・探究し、肌に触れて気持ちがいい、嬉しいと感じています。自分の性器を触る行為もそのひとつとされています。
また、もう少し大きくなっても性器を触っていることもあります。その理由は、大人に注目して欲しいために触る、友達とケンカしてむしゃくしゃして触る、気持ちいいから触ると様々です。
その時の大人の対応として気を付けたいのは、「触っちゃいけない」という気持ちを持たないことです。まずは、触ることは発達の過程で当然あること、様々な理由があり行動の一つとして形成されるものと理解した上で、
- 「触ると気持ちいいんだね」など触ることを肯定してあげること
- 「どうして性器をさわっているの」と性器を触る理由を確認すること
- 皆がいるところではなく、一人の時にできるよう働きかけをしていくこと
のように、対応するとよいです。
「性器を触る」という行為は発達のひとつのプロセスですので、「触らせないために」ではなく、触ることはOKだけど、社会性が育つ中で、一人の時に触るというセルフケアができる方向に持っていく働きかけが大事になります。
２、他の人の体を触ること
ご質問・モヤモヤ
- 先日、突然、母の性器周辺をふざけて触って来る様子があったので困りました。
- 3歳の男の子を育てています。 女の子のTシャツの絵柄がかわいいと、 つんつん触ってしまうことがあり、都度、「体に勝手に触らないよ。」と声をかけているのですが、本人的には悪気がないのか、同じことを繰り返してしまっています。 子供は何歳から性について意識するのでしょうか。上記のようなケースでの適切な大人の声掛けや対応について教えていただけると嬉しいです。
回答
自分の体のどこに誰がどう触ってよいかを決められるのは自分だけです。子どもの年齢によっては、それを伝えるチャンスでもあります。子どもが他の人の体を触るということは、コミュニケーションを取りたい場合が多いです。「好き」という感情をどう表現するかを考えていくことも性教育です。体を触る以外の「好きだよ」「信頼しているよ」を伝えるコミュニケーションの方法があること、また、つんつん触るのではなく「素敵だね」「もう少し見せて」と言葉で伝える方法もあることを伝えていく、そうした感情の伝え方の幅を広げてあげるとよいと思います。
また、触りたい時に触ってよいか、相手の「同意」をとることを教えていくことも大切です。相手を戸惑わせたり嫌な思いをさせたりすることに対して「ダメでしょ」と頭ごなしに否定するよりは、自分も相手も心地よく過ごす方法を教えてあげる方がよいと思います。
３、出生について
ご質問・モヤモヤ
- 「コウノトリがママのお腹につれてきたの？」「どうやって赤ちゃんができたの？」と聞かれた時、どう言えばよいでしょうか。
回答
「コウノトリが運んできた」「橋の下で拾ってきた」という話は“ごまかし”になってしまいます。子どもの年齢によっては、「性のことは興味を持ったり、聞いたりしてはダメなことなんだ」と感じ取ったり、「嘘つかれている」と気づいたりと、親子の信頼関係に関わることにもなります。
性を含む前述の回答と同様に、まずは、「どうしてそう思ったの？」と、どこまで知りたいかを確認した上で、科学的に人権を柱として伝えるのがよいかと思います。
年齢によって、「男の人と女の人が好きになって、二人で子どもが欲しいねとなったら、出来るんだよ」という話をしたら安心する場合もありますし、「女の人の体の中にある卵子と男の人の体の中にある精子が一緒になったら赤ちゃんの“もと”ができて、おなかの中で大きくなって赤ちゃんになるんだよ」と説明すると、「へえ～」と納得する場合もあります。
４、性教育について
ご質問・モヤモヤ
- このような大切な取り組みが全国的に普及しないのはどうしてでしょう？とてももったいない気がします。
回答
性教育は一人一人の人権を大切にする教育ですが、「性」という言葉に持つネガティブなイメージや性教育に対しての誤解、また私たち自身に性教育を受けてきた経験がないために、広がりが遅いのは事実です。しかし、メディアでも報道され、関連した本も多数出版されてきており、関心が高まっていることは確かだと思っています。